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2007年5月22日 (火)

19.松井今朝子著『吉原手引草』

当代一の花魁葛城失踪事件が、17人の証言によって明かされて行く。そこに浮かび上がるのは葛城の人物像とともに、その後ろには吉原の姿、はたまた江戸時代そのものが浮き彫りにされていく。その過程が見事でした。

5月20日読了

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2007年5月20日 (日)

18.田辺聖子著 「ひねくれ一茶」

江戸の荒奉公で苦労の末、好きな俳諧にうち込み、貧窮の行脚俳人として放浪した修業時代。辛酸の後に柏原に帰り、故郷の大地で独自の句境を確立した晩年。ひねくれと童心の屈折の中から生れた、わかりやすく自由な、美しい俳句。小林一茶の人間像を、愛着をこめて描き出した傑作長編小説。田辺文学の金字塔。

田辺センセの筆で浮き彫りにされたのはあまりにもどろどろ人間くさい一茶像でした。
だからこそ、えらい俳句の達人ではなく、愛すべき人間一茶。

最初は本の分厚さからしり込みしていたのですが、GW移動も多いので思い切って読み始めたらぐいぐい引き込まれて、GWは一茶一色になりました。

満場一致で吉川英治賞を受賞されたのも当然といえば当然。いつもながら田辺聖子さんの取材と勉強のすごさを感じるのですが、田辺センセの腕にかかったら、それが噛み砕かれて易しくわかりやすく、その時代背景、人物を私たちの前に差し出してくださいます。そして、その人物になり、周りの人となり、その場で自分が楽しめる、要するに感情移入がすっぽりできて楽しめるのを、またまた実感できました。

信濃の国に、一茶の歩いた道をたどってみたいなぁってのもきれからの課題。そして、善光寺もまだ行ったことがないので、ぜひ一度訪ねなくてはと。

5月13日読了

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